うれしかった言葉

 昨年も、今まで一生懸命にやってきたことを褒めていただいたような、嬉しい言葉をいくつもいただきました。自慢をするようでもありますが、ご紹介させてください。

『風と踊ろう』のおねえさんたちはみんな優しい!

小学1年生の保護者から言われた言葉です。

「どのおねえさんたちも、みんな優しい。学童に行ってもそんなことはない。このことだけでも、ここに来る価値がある。」

わたしは、『風と踊ろう』という場所が、ほっと安心できる場所であってほしいと願っています。

もちろん、ダンスの技術も伸ばしたいし、表現力も身につけてほしいです。そして、舞台ではお客様の心に残って、ずっとエネルギーを与えられるそんな踊りをできるようになってほしいと思っています。

そんな踊りができるようになるには、どうすればいいのでしょうか?

体ほぐし心ほぐしの大切さ

私達は日々、様々なストレスにさらされます。

ストレス社会の中では、疲れている大人、イライラしている人もたくさんいます。

そんな人が周りにいたら、どうしても影響を受けてしまいます。

小さな子どもたちでさえ、色んなストレスがあります。たくさんの人の中で緊張したり、自分を抑えていたり・・・。家では、甘えたいのに甘えられなかったり、叱られてばかりいたり・・・。

だからこそ、毎日、家族で体ほぐしをしてほしいです。

我が家でも、毎日やっています。寝る前に、家族で寄り添って、温かい手で体を揺すってもらったら、どんなに気持ちがいいでしょう。固いところがあったら、「何かあったかな?」と感じることができます。おしゃべりしながらほぐしていると、昼間は忘れていた嫌だったことを思い出して、話してくれるかもしれません。「そんなことがあったの。腹が立ったね~。」などと共感してあげると、怒りのしこりがほぐれていきます。「よく、がんばっているね~。」とか、「大きくなったね~。」とか、言ってもらいながら、ほぐされると、安心しますよね。大人にも子どもにも大切な触れ合いの時間です。

私など、体ほぐしがないと、腹が立ったことがなかなか抜けなくって、表面上忘れてはいても、なんだか口調がきつくなったり、些細なことで怒ってしまいます。睡眠の質にも大きく影響し、目覚めのスッキリさが全く異なります。

やっぱり人の手って、温かくて気持ちがいいなぁ~というのを知っていると、色んな場面で温かい手を差し伸べたくなるのではないでしょうか?

そしてステキなことに、子どもの手は温かくて柔らかくて、癒しの手なのです。

子どもにほぐしてもらうと、本当によくほぐれます。「あ~気持ち良かったぁ。ありがとう。」そんな言葉がつい口をついて出てきます。子どもたちも、自分は大人を元気にできて、喜ばせることができることに自信と喜びをもつことでしょう。

体ほぐしをして、体の内側が柔らかくなって、心もほっとすると、温かい息になります。

穏やかで温かい声をかけることができるようになります。

そんな声をかけられたら、嬉しいですよね。

『風と踊ろう』では、毎回のレッスンで、自分で自分をほぐす1人ほぐしとペアになってほぐし合う2人ほぐしをたっぷりと行います。『風と踊ろう』のおねえさんたちがみんな優しいと感じてもらえるのは、みんながそんな声をしているからではないでしょうか?

体を動かすことはいつも嫌がるのに、今日は初めから最後まで楽しそうに踊っていました!

かすや子ども館で、キッズダンスのワークショップをしたときに、保護者から言われた言葉です。そして、「安心しました。」とうれしそうに付け加えられました。体を動かすことを嫌がっていたら、親としては心配ですよね。

わたしはワークショップの始まる前に、会場に来た子どもたちに名前を聞きながら、こんな質問をします。

「今日は色んなものに変身して踊るんだけど、何になりたい?」

みんな色んなことを言ってくれます。好きなキャラクターだったり、動物だったり、乗り物だったり・・・。

子どもたちは変身するのが大好き!

イメージをいっぱいにふくらませ、その世界で夢中になって遊びます。

その世界をダンスにしていけば、楽しくてたまらない!ということになります。

子どもたちは、基本、好きなことしかしたくありません。でも、みんなと同じことをしなくてはならなかったり、上手に真似をしなくてはならなかったり、我慢しながらやることが多いのかもしれません。

大好きなことがたっぷりできる毎日だと、子どもたちの能力もいっぱい発揮でき、成長著しいと思います。そんな毎日が過ごせることを願っています。

最近よく、「他のところでは緊張しているけど、先生の前では、とてもリラックスしています。」と言われます。

「人前に出るときは、必ず発声練習をする。」というのは、くせになってきました。レッスンの前は体ほぐしをして発声練習。電話をする前には、体をプルプルっと揺すって軽く発声練習。誰かに声を聞いてもらうとき、やっぱり温かくて、もっと聞きたい声でありたいと思うのでやっています。私がリラックスして温かい声で声をかけているから、子どもたちもリラックスしてくれているのだとうれしいです。 

昨年末最後のレッスンで感動した出来事 自分で言った言葉を実現する!

グランジュッテをするときに、ふと、私が注意するのでなく、みんなになにを注意して跳ぶのかを言ってもらおう!と思い立ちました。どうしても、それぞれに同じことを注意してしまいがちです。なかなか直らないから、何度も繰り返しレッスンするのですが、同じことを繰り返し注意するのが嫌に感じたのです。

「今年最後のジャンプだけど、どこに気を付けて跳ぶ?」と聞くと、

「遠くを見る。」

「足を振り上げる。」

「肘をやわらかくする。」

など、それぞれが口にしました。そして、ちゃんと、宣言した通りに実行しました!それぞれ、みんなが!

うれしかったですね~。

自分でちゃんとどうすればよくなるかを知っていて、それを宣言して、ちゃんとやり遂げたんです!

色々と教えるばかりではなく、引き出すことも大切ですね。

より美しいダンスを創るには、より美しい日本語を話す

コンテンポラリーダンス新進振付家育成事業での公開講座に参加したときに、講師のスーザン・バージュ氏がおっしゃった言葉です。後日、直接質問をする機会があったので、なぜそう思うのかを尋ねました。答えは、“pricise!” 明快にするためとのことでした。言葉によって自分の振り付けを図式化したり、また、振付家の意図をダンサーへ伝えるためにも必要ですね。

私は、表現者として、たくさんの美しい言葉、表現に触れていることが大切だと思います。言葉一つ一つのイメージで体の内側が変わり、それが表へ出て来るのです。ただ、技術が素晴らしいダンスに感動しないのは、そこに言葉を感じないからかもしれません。言葉を使わないダンスで、言葉が最も大切と言っていただいたことは、私が常日頃大切に思っていることと、全く同感でした。

これからもダンスのレッスンでも、自信を持ってたくさんの美しい言葉や表現を伝え、美しいダンスを創っていきたいです。

言葉で人は変わります。

人生を変える影響さえあります。

言葉の力を信じて、たくさんの美しい言葉、表現に触れ、自分の中で発酵させて、自分の口からも美しい言葉、だれかの力となる言葉を発していきたいです。