美しいダンスを生む、美しい言葉
『風と踊ろう』のメンバーが、今、北九州芸術劇場で行われている”コンテンポラリーダンス新進振付家育成事業”に参加している。短期集中ゼミ「振付を探る9日間の冒険ー歴史・動き・音楽・構成・法則ー」オンライン講座4日間に、対面ワークショップ9日間、講師は韓国の振付家、チョン・ヨンドゥ氏、ゲスト講師フランスの振付家スーザン・バージュ氏だ。
その中の一般参加可能なスーザン・バージュ氏による公開トークに参加した。現在84歳の彼女は、100に及ぶ作品の制作を通じて現代舞踊の未踏の世界を開拓した人物だ。その彼女のパワフルなトークの中で、私が強く共感する言葉があった。
「より美しい言葉を発すると、より美しい構成を生み出すことができる。」
ダンスは言葉を発さないが、ダンスのために、言葉を一生懸命学んでいる私の行動を応援してもらったような気がして、嬉しかった。
思えば、私がダンスを始めたきっかけも言葉だった。大学のダンスレッスンでのジェスチャーゲームに書いたわたしの短い文章が先生の目に留まり、先生のダンスカンパニーへと誘ってもらうことになった。『こんな感性の子と一緒に踊りたい。』と、思ったそうだ。
私が今、一番力を入れて学んでいるのは、朗読だ。
美しい和歌、詩、物語、これらを声を出すことで、音の美しい響きが心にも体にも染み渡り、蓄積され、美しいダンスを生み出すことにつながっていると思う。どの言葉を発しても、その言葉の持つイメージで、私の心と体には変化が生まれる。その言葉と言葉をつないで朗読をするのだが、一つ一つのイメージ、響きを大切に、色合いを変え、音楽のように奏でていく。これを夢中になって学んでいるのだ。優れた文学作品の構成、息のうねり、イメージの膨らませ方など、どれだけ参考になるかわからない。
これを学び、わたしはダンスの作品を作り、舞台を構成していく。
作品を作りながら、メンバーがどんなイメージを持っているかを言葉にしてもらい、私のイメージも言葉で伝えていく。
多くの言葉、作品が入っていると、それだけ多くのイメージを持ち、表現することへとつながる。
だからこそ、私は美しい国語を伝えたい!と思う。日本に生まれて、美しい四季があり、和歌や俳句のある国に育ったことは、とても幸運です。朗読を学ぶ以前はこんなに美しい和歌や楽しい詩、繊細な描写の物語にそれほどの価値を見出していなかったのだ。なんと、もったいない!
これを伝える時間を『親子遊び』で行っている。
前半はわらべうたの先生にお願いして、遊びながら、日本全国の、時には外国の、響きの美しい歌で遊ばせてもらう。ほっと懐かしく、子どもたちと一緒に遊べる楽しい時間だ。大人のみの参加も多い。遊びながら、たくさんの宝石のような言葉に触れることができる。
後半は私が学んでいる詩や歌などを全身で表現しながら遊ぶ。声を出しながら、心も頭も体もスッキリとほぐれることを目指している。小さい子には難しい詩もあるが、子どもたちはきっとその響きを楽しみ、全身で表現することでイメージがしっかりと伝わっていることだろう。
ずっと昔から受け継いでいる宝物の”言葉”。その価値を再認識できるよう私自身学びを深め、次へと伝えていきたい。そして、宝物をたくさん手にして、美しいダンスを創っていきたい。
親子遊びのご案内
・日時 毎月第3日曜 10:00~11:00
・場所 自由ヶ丘コミュニティーセンター和室
・参加費 1家族1000円
・ご予約、お問合せ 090-1920-4554 大塚まで
遊びながら、たくさんの言葉に触れて、感性を磨いていきましょう。みなさんのお越しをお待ちしています。