お尻をほぐそう!~もっとバレエが上手になるために~

みなさんのおしりはどんなお尻ですか?

きゅっとしまっていますか?

ふわふわと柔らかいですか?

右と左は同じですか?

実は、お尻がふわふわで柔らかいと、とっても踊りやすくなるのです。

股関節が動かしやすくなり、脚を上げるが楽になります。

体の内側を感じやすくなるため、体の中心を意識して踊ることができます。

バレエのためだけでなく、体を整えるのにもいいことがいっぱいです。

そんな、とっても大切な体の中心にあるお尻をほぐす方法をお伝えします。

お尻はなぜ固くなる?

『風と踊ろう』では、レッスンの初めに必ず体ほぐしをしています。

あるとき、小学生になったばかりのTちゃんのお尻を触ってびっくりしました!

いつもは柔らかく良く揺れるお尻がガチっと固いのです。

「どうしたの?」と、驚きながら、話をしていますと、どうやら新一年生になって、「きちんと先生のお話を聞こう!」と、体を固くしておりこうさんに座っていたのです。

幼稚園から学校に入ると、急に座る時間が増えますよね。

「時々、モゾモゾっとお尻を揺らすといいよ。」とアドバイスしました。

学校にも慣れてくると、お尻も徐々に柔らかくなっていきました。

このように、慣れない環境に入ると無意識に体を固めてしまうことがあります。

毎日の生活や心の面にも意識をみけて、自分のお尻をチェックしてみてください。

固い方は原因を考えてみましょう。

長時間同じ姿勢でいることが多くはないですか?

緊張したり、怖いことはなかったでしょうか?

右と左の固さが違う方は、どうしてだと思いますか?

体がゆがんでいるかもしれません。

いつも同じ脚を上にして組んでいるとか、同じ方向にばかり脚を横に流して座っていませんか?

自分の日頃の生活を顧みて、お尻の固さの原因をみつけてみましょう。

お尻ほぐしの効果

お尻が柔らかいと股関節の可動域も広がり、柔軟性が増し、脚が上げやすくなるので、バレエをする場合には、特に大切です。

その他、血行が良くなり、腰痛の軽減、自律神経の調整がスムーズになります。中でも特に声を大にしていいたいのは、生理痛が和らぐということです。

生理痛がつらいときに、お尻をほぐすと楽になるばかりでなく、日常的にお尻をほぐしていると、生理痛が軽くなります。

辛いから薬を飲むという方も多いと思いますが、薬を飲まないでもいい体に変えていきませんか?

生理の時は、体の大掃除ができるときです。

体の色んな不調を感じやすくなっているので、無理をせずに、優しく体を揺すって、全身をスッキリとさせるチャンスです。

薬でその不調を感じないようにして、その場をやり過ごせば、また、次の生理で辛い症状が出てきます。

20代から30代のころ、私自身は、生理と生理の間が40日くらいでした。生理前は便秘になるし、お腹が重いし、かなりイライラし、過剰に怒りを家族へぶつけてしまったこともありました。

お尻ほぐしをするようになって、しばらくすると、いつの間にか便秘も不快な症状も無くなり、生理の間隔は28日となり、生理が始まって終わるまで5,6日かかっていたのが、3日くらいでさあ~と出して終わり!というように変わっていきました。

生理の後は大掃除ができてスッキリ!という体に変わりました。

出産のときにも、お尻ほぐしは役立ちます。赤ちゃんが大きくなるにつれて、どんどん広がっていく骨盤。お尻が柔らかいとスムーズに骨盤が広がることができます。そして、産道も柔らかくなるので、お産がとっても楽になるのです。

二人目の出産のときは、しっかりとお尻ほぐしができたので、一回いきんだら、ずるんっと出てきました。

そのあとの子宮の収縮もスムーズで、1人目に比べて、元に戻るのも早かったです。

閉経したときは、驚いたことに、大体月一回のペースで、体のあちこちにおできができました。まるで、今まで生理で排出していた色んな要らないものの、出し場がなくなっておできになって出てきたようでした。そうなると、お尻ほぐしくらいでは、足りなくって、全身をたっぷりとほぐすことで、体液や血行、神経の通りを良くし、おできのできにくい体へと変えていきました。

このように、自分の身体の不調に気づき、原因を考え、自分の力で自分の体調を整えることができるといいですね。

今、なかなか妊娠できなかったり、難産だったりする方が増えています。若いうちから、自分の身体を大切にケアして、命をつないでいける体作りをしてほしいです。

お尻ほぐしのやり方

①お尻ゆらゆら

うつ伏せに寝て、脚を軽く開き、ゆらゆらと揺れてみましょう。

全身の力を抜いて、声をあ~と出しながら、気持ちよく揺れます。

お腹も背骨もよく揺れてほぐれます。

膝を曲げて、お尻をとんとんとかかとで敲いたり、(お尻にかかとが届かない場合は無理につけようとしないでください。つかなくてもOK)足先で絵を描くようにぐるぐると色んな方向に動かすと股関節も良く動きます。

②仙骨のまりつき

仰向けに寝て、膝を立てます。お尻の下に手を敷いて、その上でまりつきのようにお尻を上下にトントンと動かします。手もほぐせるので一石二鳥!

③お尻ぶらぶら

②の状態から、両手を万歳のように顔の横に上げて床につき、お尻を揺らしながら、上げてみましょう。お尻もお腹も良く揺れながら、背中もほぐせます。

また、四つん這いから頭を下げて、脚を上げてぶらぶらするのも、お尻もお腹も良く揺れ、血圧調整にもなります。

一番簡単にしょっちゅうできるのは、立ったままのぶらぶら。片足を前に出したり、横に出したり、後ろに出したりして、脚をプラプラっと揺すります。お尻の方へも波が伝わってきますよね。バランスが不安な方は危なくないように何かにつかまりながら、とか、壁に手をついてやるなどしてください。

私は電車を待つときとか、お皿を洗っているときなどにも、やっています。

④お尻歩き

脚を伸ばして座り、腕を振ってお尻で歩きます。

前に進んだり、後ろへ下がったり、お尻を片方ずつ動かします。

横も挑戦してみましょう。片方のお尻を上げて、下ろすときにお水をざーと下ろしたお尻に流しいれ、反対のお尻を上げながら横の方へ進みます。

私はテレビを見ているときとか、洗濯物をたたむときなどに、よくしています。

お尻の筋トレ

柔らかいお尻がいいけれど、たるんだお尻は嫌ですよね~。

筋トレをすると、その周辺が固くなり、血行や体液の通りが悪くなってしまうことがあります。

上手にお尻の筋肉を鍛えながら、でも、お尻を柔らかくしていきましょう。

同じ動作でも、意識の仕方で筋肉の付き方は変わります。

おすすめはあくびをするように動かす!ことです。

①四つん這いから脚を上げる

よくあるお尻の筋トレですが、「脚を上げる」と思ってやると、お尻が固くなりがちです。

前の脚の付け根を伸ばす意識で行います。「いないいないばぁ」の要領で、膝を曲げたり伸ばしたりを繰り返します。あくびをするように気持ちよく脚を伸ばします。伸ばすときに少し脚を上げるといいのですが、上げることに意識が行くとお尻が固くなりがちですので、あくまであくびをするように気持ちよく伸ばす感じで行ってください。縮めるときに「ぐう~」伸ばすときに「ぱあ~」と声を出してやってください。

この筋トレの後、お尻ほぐしの②のぶらぶらをやってください。

②うつ伏せから脚を上げる

うつ伏せで寝てつけ根の下に手の甲を床にして置きます。脚を少しだけ上げるのですが、その時に、脚だけを上げようとすると、背筋に負荷がかかりすぎるので、手や指を使って脚を上げるのを補助します。上げるときに、足先のお水がお腹に入って来るなあ~と体の中の水の流れを感じてやってみてください。

この筋トレの後、お尻ほぐしの①のゆらゆらをやってください。

③いないいないばあっの要領で、色んな方向に脚を上げたり縮めたりする

仰向けでも、横向きでも好きな方向に寝ます。そして、赤ちゃんがお腹の中に入った姿勢になります。いないいないをしているように、小さく丸まります。今度はあくびをしながら伸びをするように、ばあ~と好きな方向に手足を伸ばします。そして、手足の指をもにょもにょと動かしてみましょう。しっかり伸びをしたら、また、いないいないの状態に小さくなります。これは全身運動になりますが、お尻も良く使います。

ダンスも全てこのいないいないばぁの要領で踊れると体がどんどんほぐれていきますので、ぜひ、毎日やってください。

④もも上げ

腹筋や脚の筋肉とともにお尻も使います。大切のなのは、軸足の方へ水を流すこと!上げる方へ意識が向くと腹筋や固くなりがちです。腿を上げたら、おへそからつけ根を通って、軸足に水を上から流すと意識すると気持ちいいですよ。まっすぐに上げたり、股関節を開いた状態で横に上げたりしてください。

終わったら、立ったままのぶらぶらをどうぞ。

⑤雑巾がけ

四つん這いになり、お尻を上げて進みます。足の指、足の裏の筋肉から、脚全体を使う負荷の大きい筋トレになります。

床の掃除をしながら、筋トレできるので、気に入っています。

終わったら、四つん這いのぶらぶらをどうぞ。

このように、筋トレのコツは負荷をかけ過ぎないで、体の中の水が気持ちよく揺れたり、流れたりしていることをイメージすることが大切です。そして、使った筋肉はすぐに揺すってほぐして柔らかくしておくと、固い筋肉にはなりません。固い筋肉がつくと内臓の動きが悪くなったり、血液や体液、神経の通りが悪くなるので、気をつけましょう。

まとめ

長い時間をかけて固くなってしまった体は、柔らかくするのに時間がかかるかもしれません。

のんびりとあくびをするようにリラックスして行うほうが効果が早く出ます。毎日、少しずつ、まんべんなく体を使いながら、ほぐすことも同時に行うようにしてください。

動物のように、しなやかでよく動ける筋肉をつけていきましょう。

お尻ほぐしの気持ち良さに、毎日しなくては気持ち悪い!というくらいになった時、色んな体の不調が軽減され、バレエが踊りやすくなっていることでしょう。

ふわっと軽々と跳べる、回れる、脚が上がる・・・何よりも踊ると体が気持ちいい!と感じられる体作りをしてしてください。

                            

参考資料 ボディートーク第227号会報 生理痛の解消法~『お尻ゆすり』のススメ~

写真撮影:松崎佐奈恵